北欧・夢紀行
〜フィンランド Vol. 3〜

1999年8月6日(金)。寝坊してしまい、朝ゆっくり散歩出来ず。それでもサウナに入り、そして近くを急ぎ足で散策。「フィンランド留学日記」に載っている、あの森の風景にどうしても出合いたかったのだ。再度道行く人に写真を見せて訊いてみる。しかし「ここだと思うよ」と言われたところに行ってみても、どうも違う気がする。とりあえず写真を撮って退散。時間がないので駅に向かった。

道すがら、僕は幼稚園時代に思いを馳せていた。幾度となく夢想した(もしくは夢に出てきた?)あの美しい風景は、小学校6年生の時に目にしたフィンランドの写真(工藤静香さんのCD「カレリア」のブックレット)で、きっとこの国で間違いないと確信した。「フィンランド留学日記」によって、その想いは更に強まった。しかし、トゥルクでもユヴァスキュラでも出合えなかった。せっかくフィンランドに来たのに・・・。もっと小さな別の町なのだろうか?なぜ今回出合えなかったのだろうと僕は考えた。そして、それはきっとフィンランドに来るのは今回限りではなく、また来なさい、ということなのではないか?と勝手な解釈で自分を納得させたのであった。

夕方、ヘルシンキに着いた。相変わらず小雨で、8月上旬だというのに肌寒い。一応と思い、昨日予約ミスでキャンセルされた安ホテルに電話をして確認すると、空室があるという。ならばと、代わりに予約されたツインの部屋のホテルはキャンセルすることにし、せっかく予約してくれたのに昨日のボランティアの人にもホテル側にも申し訳ないと思いつつ、ホテルにキャンセルの電話を入れると、電話を切る間際、
「(キャンセルの旨を)お知らせ頂きまして、どうもありがとうございました」
と、丁重に礼を言われて驚いてしまった。もしフランスなら・・・と考えてしまう僕。

北欧はどこに行っても、優しい風が吹いている。人も町も、みなあたたかい。

残念ながら今回のホテルにはサウナがなかった。更に、アールトが建築を手がけた本屋の一角にある「カフェ・アールト」も、僕が行った時には既に閉まっていてがっかり。
(その5年後、念願を果たすことになる。詳細は旅行記の中にある「北欧」を。「カフェ・アールト」は、「フィンランド Part3」に収録)

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異国にて…

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