北欧・夢紀行
〜ストックホルム Vol. 4〜

1999年8月3日(火)。スカンセンを見学しに行く。スカンセンとは、昔のスウェーデンの一般家庭や農家などの建物や生活様式を再現した博物館で、世界初の野外博物館なのだそうだ。家は木造で、瓦屋根があったりで、なんとなく日本に通ずるものがあるように思えた。それぞれの建物の中には、実際に織物をしている女性がいたり、かなりリアルに当時を再現している。何だか、僕までとても懐かしい気分になってしまった。

スカンセンの近くに「ヴァーサ号」という戦艦が展示されているということで観に行く。ドイツ30年宗教戦争に加わる為に、1628年に処女航海に出るが、突風に襲われ水深32メートルの海底に沈没。その後、333年もの間、海の中に沈んだままだったが、引き揚げられ、修復されたものが展示してある。博物館に入るなり、いきなり大きな船が現れる。大層立派な船のように見える。これが333年間も海底に沈んだままだったのかと思うと、何とも言えない貫禄までもがプラスアルファされてくるようだ。余談だが、この日は、僕が日本を発ってから333日目だった。333という数字の偶然に驚きもし、また、ストックホルムにいることで「これは運命だ!」なんて、北欧とのこじつけを勝手に思っていた。

夕方、Sとレストランで夕食。そこになんと2人も有名人がいた。といっても、僕は知らない。Sが僕に「あの人、有名な司会者だよ」とか、「あそこにいる人、今人気のコメディアン」だよ」と教えてくれたのであるが、ストックホルムはさほど大きな街ではないので、有名人に会う比率が高いのだそうだ。Sは慣れているのか、都会っ子ゆえなのか、はたまたただ「ミーハーでない」だけなのか、有名人2人を見ても全く興奮もせず、淡々としていた。

とりあえず、今日でストックホルム観光は終わり。夕方から豪華客船に乗り、フィンランドへ向かうのだ。ついに、やっと憧れのフィンランドだ。10年越しの思い。この船で一晩明かし、朝目が覚めたら、もうそこはフィンランドなのだ。思い残すことはない・・・。白夜の夏の清々しい北欧の景色を、海の上から眺め、僕はとてつもなく興奮していた。

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異国にて…

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