第46話
「休校」

雪が降り、学校が休みになった。北国出身の僕にとって、雪など珍しくも何ともなく、学校を休校にし、僕を家に閉じ込めるだけの、厄介なものだった。この日、僕はベリンダと保健所に出かけ、予防注射を2本打った。アメリカに住むにあたり、義務付けられていた注射だった。そう、ルイスヴィルで受けるはずだった予防接種。あの日、僕とミルドレッドは喧嘩したのだった・・・。

退屈な1日を過ごし、明日こそは学校がありますように・・・と祈った。翌朝、時間通りに起きて、着替え、朝食を済ませたが、この日も雪のせいで学校は休みだった。ガックリしてしまった。家には居たくない、学校に行きたい、週末なんていらない、週休2日なんて厄介だ、と当時の僕は本気で思っていた。

夢を見た。夢の中で、僕はフィリップと日本食レストランに行く約束をしていた。でも場面は日本の祖父母宅だった。お祭りの日で、フィリップと出かける時間まで、中学の同級生たちと出店を見に行くことにした。時間になったので帰って来ると、フィリップは自分の家族、そして僕の家族と共に夕飯を食べていた。僕は「行くって言ったのに!」と言い、怒って家を出て行った。

奇妙な夢で始まった退屈な一日。ベリンダが朝、300ドルもするCD-ROMのソフトを買って来た。一緒に買い物に出かけたダラスが大騒ぎして「300ドルのCD-ROM!」と言っただけなのに、ダラスはベリンダにしこたま叱られていた。それから、パワーレンジャー(日本のウルトラマンのようなもの?)のシールを使ったとかで、デニーとベリンダは夫婦喧嘩。夜は、トリーが「ベッカ(隣の住人)が電話してきた」と嘘をついたことにより、喧嘩。9時にもなってから夕飯。とんでもない一日だった。

明日は絶対に学校がありますように・・・。

その夜、やっと雪が止み、休校という悪夢から解放された。

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