
| ファック?! |
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外国語の発音には、「ヘン」な音が沢山ある。「ヘン」というのは、言語学的・音声学的にヘンなのではなく、自分の母国語の視点から見た「ヘン」である。
例えば、“How much?”を“はまち”と言ってみたり、“What time is it now?”が“掘ったイモいじるな”と言って通じたりする。更に、アメリカでは、“sake”(酒)のことを“サキ”と発音していたが(南部だけではないよね??)、ご多分に漏れず“Kobe”(神戸)のことは“コウビ”なんて発音されるものだから、慌てて、 「えっ?コウビ??何それ?地震?あ、コウベか!・・・コウビって日本人に言うと、違うものをイメージするから、コウベと言って」 なんて丁寧にも日本語の発音指導までしてしまったが、こんなことはザラにある。英語だけでなく、世界のいろんな言語には、日本語と全く同じ音で違う意味を持つ単語がよくある。ここでは書けないようなキワドイ言葉しか覚えておらず、例を挙げられないのが心苦しいが・・・。 高校時代、アメリカ人の先生と日本語で会話していたところ、「あとは?」と聞いたら、 「Capital of Canada!」(カナダの首都!) と返してきた。会話の意味を成していないので、もう一度聞いても同じ答えだ。勿論、先生はわざとそういう答えをしてきたのだが、どうやら「あとは?」という発音が、英語の“Ottawa”(カナダの首都オタワ)に聞こえるらしい。 “膝”は英語で“knee”(ニー)だが、この単語を覚えるコツとして、その先生は、 「膝がかゆい=“itchy knee”(イーチ・ニー)と覚えるんだよ」 と教えてくれた。日本語の「1、2」である。 他にもいろいろあるが、今回は割愛。 フランス語だと、“Ca va?”(サバ?=調子どう?)、“Qu'est-ce que c'est?”(ケスクセ?=これは何ですか?)などが、フランス語学習初期の段階で、「おかしな音」と感じる例文だ。“うなぎ”はフランス語で“anguille”(アンギーユ)と言うが、不定冠詞を付けて“une anguille”言うと、ほぼ日本語と同じ“ウナギ”に近い音になる。 また、日本語の“サボる”という単語は、実はフランス語の“sabotage”(サボタージュ)が語源であることはあまり知られていない。嘘のようなホントの話だ。 さて、先日、京都から大学時代の友人が遊びに来た。クラスメイトの近況をコーヒーショップで話しながら、僕は僕達のクラスメイトYの近況を語っていた。フランスの大学に留学するとかしないとか、という話をしている最中、僕は突然ハッとして話を止めた。目の前にいる友人は、不快な顔もせず僕の話を聞いていたのだが、結構大きな声で話していた僕自身が、イケナイ言葉をさっきから連発していることに気がついたのだ。 「それでYは、フランスのファックに入りたがってるんだけど・・・」 「ファックに入る為には、あれこれこういう手続きが必要で・・・」 「でも、フランスのファックに入ったら・・・」 極々自然に僕は話していた。 説明するまでもないが、“ファック”とは、英語で最も口にしてはいけない単語である。今や、日本でもよく知られた単語である故に、英語圏でなくとも大きな声で発するべき単語ではないことはよく分かっているはずだ。 実は、僕がその時使っていた“ファック”という単語は、英語のソレ(fuck)ではない。フランス語で「(大学の)学部」を意味する。正式には、“faculte”(ファキュルテ)と言うのだが、省略して“fac”(ファック)と言うことが多い。この単語、僕は大学2年の時にフランス人の先生に習った。フランス語の略語について学んでいる時だった。 「“faculte”のことは、省略して“ファック”と言います。でも、これは・・・みんなも分かる通り・・・英語ではイケナイ言葉ですね。フランスではよく使う単語なので、英語圏の学生達はこの言葉を使う時、大問題を抱えるわけです・・・」 先生は笑いながら話していた。そして、逆ヴァージョンの話も披露してくれた。先生自身の体験談だった。 「ハワイに初めて行った時、タクシーに乗ろうとしてビックリしました。きっと、ほとんどのフランス人はハワイでタクシーに乗りたいとは思わないでしょう。なぜなら、タクシーの名前が“sida”だからです」 フランス語で“sida”(シダ)とは、エイズを意味する単語なのだ。 |