第85話
CDショップにて大興奮!

7月26日(月)。アサミヤとキッチンで春巻を作っていたら、同じ階に住むポルトガル人(僕たちは“旦那”と呼んでいた)が、「いい匂いだなぁ〜。何作ってんの?」と声をかけてきた。後になって、1本くらいあげれば良かったね、と大後悔する。

7月27日(火)。ラジオで流れて好きになったのに、曲名も歌手名も分からない歌をカセットテープに録音し、ヴァージン・メガストア(大型CDショップ)に行って親切そうな店員をつかまえ、ウォークマンでその曲を聴いてもらった。多分この曲だろう・・・というのを紙に書いてくれたのだが、試聴すると違う。肩を落としながら、今度は別の大型CDショップfnacに行き、また親切そうな店員をつかまえて聴いてもらったところ、その人が同僚何人かに聴かせてくれて・・・(本当に親切)・・・多分コレだろう・・・と、一緒にCDを試聴した。そして前奏が流れた途端、その店員さんは「On a gagne!!(やったぁ〜!!)」と叫び、僕よりも大喜びで、興奮しながら同僚に「見つけたぞ!」と報告していた。フランスは、何年も前のヒット曲をラジオでバンバン流すのだが、人々の記憶からタイトルと歌手名が消えてる場合がある。ちなみに今日入手出来た曲は、80年代にヒットした、イギリス人歌手ニック・カーショーの「The Riddle」、そしてこれまた80年代にヒットしたイギリスのロックバンドTears For Fearsの「Everybody Wants to Rule the World」であった。

それにしても、fnacの店内には、僕が愛するパトリシア・カースが来店した際の映像が流れていて、「もしや・・・」と思い、店員に訊いたところ、数日前にインストア・ライヴがあったのだそうな。同じパリにいながらにして、僕はそんな貴重な機会を逃してしまった!!くやしー!!

7月28日(水)。観光名所ではない博物館に行ってみたいと思い、アサミヤと音楽博物館へ。最初は興味深く見るのだが、次第に飽きてくるのが僕の性質。アサミヤの方がじっくり見て回っていた。

夜は、観光でパリに来ているアサミヤの両親と従兄との食事会に、なぜか僕も参加した。マレ地区の「カミーユ(Camille)」というレストラン。なかなか美味しかった。

7月29日(木)。1週間ぶりに学校に行くと、生徒の数が半分に減っていた。さもありなん。やはり先生の問題だろう。それしか考えられぬ。授業の後、アサミヤと待ち合わせて、モネの「睡蓮」を見に、オランジュリー美術館に行った。入り口のところで、カバンの中身をチェックされたのだが、その際英語で「Open, please」と言われたので、いつも通りにムッとしてフランス語で訊き返すと、その人は僕の意図に気付いたらしく、笑いながらフランス語で言い直してくれた。自分でも可笑しくなってしまった。たかが「オープン・プリーズ」くらい、見逃して(聞き逃して?)やれよ!と、自分に言いたくなった。

そして夕飯は、「野田岩」といううなぎ料理の店へ!久々のうな重に感激。

7月30日(金)。ソルボンヌの夏期講座最終日。そもそも授業が気に入らず面白くないのに、最後だからと、それぞれの国の国歌を歌わされて、最後の最後までつまらぬ思い。日本人は3人で「君が代」を歌ったが、どんより暗い・・・。

夜、花子とアサミヤとで焼肉を食べに行った。僕は明日から念願の、やっとの思いの北欧旅行!

第86話につづく

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