第68話
ひとり来る

4月10日(土)。今日はレンヌに留学中の、我らのもうひとりの同級生リンゴが合流する。夜行列車に乗って朝早く着くということで、6時半に起きて駅に迎えに行くハズだったのにも関わらず、起きたのが7時半。大慌てで駅に向かう。しかも2人してパジャマ姿。これは昨夜話し合った作戦である。パジャマ姿で迎えに行ったら、きっとリンゴはとてつもなくビックリしてくれることだろう、という目論見通り、僕たち2人の姿を見たリンゴは何秒間か言葉にならなかった。
「ハ・・・・ハァ・・・・ハ・・・ど、ど、どうしたの?その姿?!」
それにしても、いくらホテルから駅が近いからといって、しかも早朝だからといって、パジャマ姿で外に出るとは、何ともアホな話。若気の至りとしか言いようがない。

昼食を摂り、町をぶらりとした後、壮大な水道橋で有名なポン・デュ・ガールに行こうするも、もうバスがなく断念。映画を観た。旅行中に映画・・・何とも贅沢な時間だ。夕食は「NANI」というレストランで。大変な混み具合で順番待ちをした。地元の人たちで人気のレストランらしく、味もさすがに良かった。犬大国のフランスでは、レストランに犬を連れて来てもOK。大人しく寝そべっていて、他の客の邪魔にならないのがまた可愛い。このごった返す店内で、可愛らしく寝そべっていたゴールデンレトリバーが、客に尻尾を踏まれ、悲痛な声を一瞬上げていた。かわいそうに・・・。

4月11日(日)。今日はポン・デュ・ガール行きのバスが出ておらず、仕方がないのでアヴィニョンを後にし、モンペリエに向かった。着いてすぐにホテル探し。なんと星なしホテル。料金値下げ交渉に成功はしたものの、さすがにスゴイ部屋・・・。ちょっと不気味。だだっ広い部屋にドカンとベッドが置いてある。周辺を散歩したのみで、特に観光らしい観光はせず、夜を迎えた。イタリア料理を食べ、バーに行き、明日帰ってしまうポン子最後の夜は、ホテルの部屋で夜中3時半まで喋っていた。

4月12日(月)。朝、fnac(CDや本を売っているチェーン店)に行った後、美術館に行こうとしたが休館日だった。ポン子がポワチエに帰る。テストがあるので勉強しなきゃ、と憂鬱そうに言って去って行った。今日からリンゴとの2人旅。公園で、70年代アイドルを気取ってお互いの写真を取り捲った。笑いの嵐。夕飯はスーパーで買ってホテルの部屋で食べた。その後、僕はひとりで映画を観に行った。

第69話につづく

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